図書館運営方針

1.図書館を取り巻く社会的状況

近年、人々の価値観やライフスタイルは著しく多様化、個性化するとともに、人口減少、少子高齢化の進行や都市化、グローバル化の進展、高度情報処理技術の発展など、図書館行政を取り巻く環境は著しく変化してきている。
こうした社会の変化の中で、市民の教養、調査、研究、レクリエーション活動等、図書館の果たす使命は質・量ともに高まりしつつある。

2.図書館サービスとは

(1)地域の情報の拠点

図書館には本、雑誌、新聞などの活字情報やCD、DVDなどの音響や映像の情報があり、蓄積され、利用しやすいよう整理分類されている。
生活に、仕事に、余暇にと様々な市民生活の場面で必要な情報を利用することを可能する。

(2)地域の読書・研究等の施設サービス

多くの本に囲まれて、心置きなく読書できることはもとより、調査・研究活動、勉学など快適で良好な環境を提供する。

(3)地域の様々な情報・資料の保存・活用

地域が著しく変貌を遂げるなかで、伝統的な文化や風俗の継承や、過去の事情等を保存し、後世の活用に資する。そのためにも他の社会教育施設等とより一層協力、連携する。

(4)生涯学習活動の支援

いつまでも元気で生き生きと暮らしていくためにも、市民一人ひとりがそれぞれの学習を進めるための支援を行う。各種資料の提供やサークル、グループ活動のための講座室・研修室などの場を提供する。

(5)サービス提供の基本的姿勢

図書館は、市民の知的要求を保障する施設であり、市民の誰もが暮らしの中で、仕事の上で、必要な知識や情報を得ることができなければならない。
図書はもちろん、視聴覚資料など様々な資料を求めるあらゆる市民に、自由に気軽に提供するとともに、自由で活発な生涯学習のための基幹的施設として、利用しやすい快適で良好な環境を確保する。

3.サービスの目標

市民ならば誰でも自由に利用でき、年齢、性別、国籍、信条などによって利用を制限されるようなことがあってはならない。
市民はどこに住んでいても、誰でも、いつでも、どのような資料でも手にすることができ、等しく図書館を利用することができなければならない。

(1)どこでも、誰でも、いつでも、なんでも

ア どこでも

図書館サービスは市内全域にゆきわたり、どこに住んでいても、
気軽に利用できなければならない。

 

イ 誰でも

図書館は赤ちゃんからお年寄りまで、誰でも自由に利用できる。
身体に障がいのある方、来館が困難な方や外国籍の方にも、
サービスを届けられなければならない。

 

ウ いつでも

開館時間内であれば市民はいつでも自由に利用することができる。
図書館は、土曜・日曜・祝日も開館し、市民が仕事の帰りや休日なども
利用しやすいようなサービスを行う。

 

エ なんでも

市民が読みたい図書や利用したい様々な資料は、古典から最新刊のものまで
広範囲に及ぶ。それらをできるだけ幅広く収集して市民の要求に応える。
また、市民が必要とする図書や資料を所蔵していない場合は、
新たに購入することや、県内外の図書館や専門機関の支援を受けるなど、
あらゆる手段を用いて市民に提供する。

(2)サービス方針

ア 貸出しをサービスの基本に置く

図書館の機能は、市民に市民の求める資料を提供することが基本である。
市民は求める資料を自由に選び、自由に読む。そこには何の制約もない。

具体的な施策
 ○ 予約・リクエストサービス
 ○ 相互貸借、相互利用
 ○ 団体貸出
 ○ 読書案内、レファレンスサービス

イ 子どもの読書活動を推進する

すべての子どもが、魅力と価値ある本を読みたいときに読みたい場所で
自主的な読書活動ができるよう、さまざまな条件を整備する。

具体的な施策
 ○ 「第3次沼津市子ども読書活動推進計画」、
「こども読書週間」関連行事
 ○ 絵本講演会、子どもの本を知る講座、読みメン講座
 ○ おはなし会、夏休みわくわく図書館、
おはなしフェスティバル
 ○ 学校図書館への支援

ウ 高齢者や子育て世代、ハンディキャップを持つ人々を大切にする

高齢者や子育て世代が気軽に立ち寄れ、新しい生きがいが生まれる
ところであるとともに、身体の不自由な人々をはじめ、ハンディキャップを持つ
人々にも、利用しやすくするよう、ユニバーサルデザインや多文化共生の
視点に立った運営に努める。

具体的な施策
 ○ 点字本、大活字本、録音・映像資料等の収集、提供
 ○ 郵送貸出、宅配サービス
 ○ 団体貸出

エ 郷土資料・地域資料の充実を図る

市民生活に直接結びついた資料提供は、自治体設置図書館の使命であり、
郷土資料及び地域資料は積極的に収集、保存及び整理し提供する。

具体的な施策
 ○ 地域関係資料・地域内出版物の収集
 ○ 行政資料の収集
 ○ 新聞・雑誌記事等のファイリング

オ 市全域へのサービス

市民の日常生活圏の中に地域館(あるいはそれに相当する図書室)を配置し、
市全域にサービスをいきわたらせ、さらに補完、連携のために自動車文庫
サービスを展開する。

具体的な施策
 ○ 地区センター図書室の整備、巡回指導員の配置
 ○ 自動車文庫
 ○ 家庭文庫支援

カ 自主事業による読書活動の推進に努める

図書館活動の一環として、資料の提供と関連を持たせ、資料の活用を促進し、
市民の読書活動の推進を図り、図書館とのつながりを一層強いものにする。

具体的な施策
 ○ 文芸講座、夏休み子ども講座
 ○ 読書週間講演会
 ○ 夏休み企画展、読書週間記念展、富士山の日協賛行事
 ○ 上映会、夏休み図書館子ども探検隊、ビブリオバトル
 ○ 視聴覚ホール、講座室の貸与

 

4.図書館を支える要素 人、資料、施設

(1)職 員

利用者が満足できるかどうかは、職員の能力によるところが大きい。常に研修・訓練を怠らず、利用者と資料とを結び付ける知識と技術を持つ専門家であることを意識する。
読書案内やレファレンスなど専門的な内容を的確に対処するだけでなく、市民の暮らしに密着したサービスを展開する積極性と熱意が必要とされる。
また、市民とともに成長する図書館とするためにも、NPO団体、ボランティアとの更なる協働も必要である。

(2)市民・NPO団体・ボランティア

市民、NPO団体及びボランティアが、互いの立場を尊重し、信頼関係のもと、ともに成長する図書館とするために、それぞれの活動の更なる展開を促進するとともに、協働、連携し、効果的かつ積極的な取り組みを進めていく。

(3)資 料

図書館を生きた施設とするには、市民が直接使用する図書や資料を充実させる必要があることから、常に適切な資料購入費の確保を求めていく。

(4)生涯学習活動の拠点施設

精神的豊かさが求められるこれからの時代にあって、生涯学習が担う役割はますます重要になってくる。
市民の多様なニーズに適切に応えるために、そのニーズを的確に把握し、学習の情報や機会を充実させ、生涯学習活動の拠点施設としてさらなる機能を高めていく。

(5)施 設

図書館は、人と本との出会いの場、学習の場であるとともに、人と人との出会いの場、語らいの場であり、心が和むところでありたい。
そのために、市民が安全に利用できるよう的確な施設管理を行う。